公正証書の遺言書が無効であると争うことができるか(遺言書)
遺言書裁判沙汰にして、公正証書の遺言書が無効であることの確認を求める訴訟を起こすことは、法律上はできます。
また、遺言者が精神障害などで遺言できる状態でなかったとか、公正証書の作成の手続に不備があった場合には(証人が不適格な人だったり、遺言者が口頭で遺言内容を公証人に伝える口授という手続を書いていた場合など)、法律上は、遺言書が無効になる可能性はあり得るということになります。
ただし、このような遺言書無効確認訴訟で、遺言書が無効であると判決してもらうためには、遺言者が精神障害などで遺言できる状態でなかったとか、公正証書の作成の手続に不備があったとかを明確に証明できなければなりません。
しかしながら、公正証書というものは、公証人という国家の機関が、この遺言をした遺言者には、精神的な問題はなく、公正証書の作成手続も適法に行われたということを証明した書類です(だからこそ「公正証書」と呼んでいるわけです)。
この国の機関であり、かつ、法の専門家である公証人(裁判官や検察官だった人が多いです)が、遺言者を目の前にした状態で、手続には間違いはなかったと証明した書面(公正証書)を、後から、手続に間違いがあったと反証してひっくり返すということは、ほぼ不可能と考えておいた方が良いです。
自分が相続人の一人であり、自分にとって不利な遺言書が作成されたんじゃないかというおそれがある場合には、新たな遺言書を書いてもらえば、後に作成した遺言書の方が優先するので、新しい遺言書を書いてもらうようにすべきでしょう。
公正証書が先で、自筆証書が後でも、後に作成された自筆証書が優先しますので、後に作成する遺言書を公正証書で作成しなければならないということはありません。