生前に財産をもらった兄妹と同じ相続分は納得いかない(特別受益)
特別受益・寄与分民法では、「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるとき」は、その者を特別受益者として、相続開始(被相続人が亡くなった時)のときに、実際に残されていた相続財産の額とこの特別受益の額を合算して、特別受益者は、既に特別受益額相当の相続財産を得たものとして相続計算をすることにしています(民法903条1項)。
ただ、被相続人(亡くなった方)の生存中に、被相続人から不動産を贈与されたとか、多額の金員を贈与されたとかであれば、特別受益であると言いやすいですが、そうではなく、たとえば、月あたり20万円継続的にもらっていたというようなものであると、それが生計の資本として受けた贈与なのかどうかが問題になります。
親族相互間(配偶者、直系血族、兄弟姉妹)には相互扶養義務というのがあり(民法752条、877条1項)この相互扶養義務の一環として、日々の生活費を援助してやったにすぎないと言える場合には、特別な受益を受けていたとは認定されません。
新築祝いとか、入学祝いなどであっても、親としての通常の援助の範囲内だと認定される贈与も特別受益にはなりません。
親が生前に贈与したものが全て特別受益になるわけではなく、むしろ、特別受益にならない場合が多いということに注意が必要です。