占有移転禁止仮処分で延滞借主が退去(平成31年3月18日掲載)
訴訟などの本来の手続の前提となる処分の段階で解決が付いた事案です。
通常、家賃滞納の借主を退去させるためには、家賃滞納を理由として賃貸借契約を解除し、解除の結果、借主が物件に滞在する理由がなくなるので、物件の明渡しを求める訴訟を提起したりします。
ただ、明渡しの判決をもらっても、強制執行をするときに、判決の被告とは違う人が物件にいると、その人に対する直接の判決が無いためややこしいことになります(家族とかであれば、利用補助者とか、履行補助者と言われて、被告である借主の一部みたいな扱いになりますが)。
強制執行をしたときに、被告とは全然違う人がいた場合であっても、その人に対しても出ていけと言えるようにするのが占有移転禁止の仮処分です。
占有移転禁止の仮処分が決定して執行されていると、借主は、物件の占有を他者に移転することができないということになるため、強制執行のときに他人がいても、その他人は、物件を占有していることになりません。
物件を占有していないので出てけと言えるわけです。
この占有移転禁止の仮処分自体は、執行官が物件を訪ね、物件の中に入って仮処分の貼り紙をするというだけですが、裁判所の執行官が行う手続なので、これで観念して自分から出ていく延滞借主もいます。
最近もそのような案件がありました。
占有移転禁止の仮処分で素直に出ていかない延滞借主に対しては、本格的に訴訟して、判決を取って、強制執行ということになります。