共有物分割調停で不動産の価格に関する意見書を提出して決着(2019年2月26日掲載) | 相続・不動産に強い名古屋の弁護士

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共有物分割調停で不動産の価格に関する意見書を提出して決着(2019年2月26日掲載)

 

リアルバリュー法律事務所での解決事例です。
当事者の特定を避けるため、いつ頃の事件かが分からないように
年月日などは伏せます。また、事案の本質を変えない程度に事実関係を変えてあります。

親が亡くなった後、土地について、兄と妹が2分の1ずつの共有持分で相続登記をしていた案件でした。

土地の共有持分は2分の1ずつですが、その土地に兄夫婦が建物を建てて居住しているという状況でした。兄夫婦が親からただで土地を借りて、家を建てて住んでいたわけです。家自体は建築後40年ほど経った木造家屋でした。

妹の方は、兄と同じ2分の1の土地の持分を有しているはずなのに、兄夫婦が土地の全てを居住用に利用し、妹は全く物件を利用できないことから、土地の共有者というのは名ばかりだということで、妹から共有物分割をしたいと依頼を受けたものです。

共有物分割をする場合、結論としては、3つしかありません。

  1. その物件を物理的に分割する方法
  2. その物件を売って、お金に換えて、そのお金を持分に応じて分ける方法
  3. 一人の共有者が、他の共有者の持分を買う方法

訴訟になった場合には、基本的には、この3つのどれかに該当する判決がされることになります。

本件の事案では、共有物は土地なので、建物などと違って、1.の分割は一応可能でした。ただ、分割してしまうと、分割後のそれぞれの土地の形が悪くなったり、面積・間口などが小さくなってしまうため1㎡当たりの単価が大きく下がってしまうという場合でした。

また、兄も妹も、他方の持分を買い取るだけの資金がなく(それだけ高価な土地だったわけですが)、2.の方法はできませんでした。

そうすると、上の3.の、売ってお金に換えて、そのお金を分けるという方法しかないようにも思えます。

しかし、ここで、兄夫婦がそこに居住しているということがネックになりました。兄としては、これまでどおり、ここに住んでいたいと主張したわけです。

兄側は、居住している建物がそのまま残るような形で土地を分割して、兄は、建物が建っている部分の分割後の土地、妹は、その残地をそれぞれ取得するという形で和解したいという案を出してきました。

同時に、兄側は、建物の敷地となる方の分割後の土地は、土地の形状が悪くなり、妹がもらうとした残地よりも安くなるという理由で、妹から兄に対して精算金を払うようにも要求してきました。

これに対して、こちら(妹)側は、不動産の価格に関する意見書を資料として提出し、兄側が望む土地の分割方法では、妹がもらうとしている残地についても面積や間口が小さくなることによる減価が発生することを主張しました。

そして、この土地の減価分の補償がなければ妹としては分割案に応じられないし、もし訴訟になっても、兄側が同様の主張をするなら、減価分の補償分を考慮した土地の価格(限定価格と言います)の不動産鑑定評価書を提出して、兄側の精算金の主張が不当であることを争い、かつ、土地の価値が下がることから、土地の分割自体も不合理であると主張し、裁判所には、競売にかけて売却代金を分けるという内容の判決を求めると強調しました。

兄側の弁護士は、訴訟で行くところまで行ったら、競売にかけろという判決になる可能性がかなりの程度あると感じたのでしょう。もし、そのような判決が出れば、土地を競売にかけられると、兄夫婦は、そこに居住することができなくなり、結果として追い出されることになるおそれがあります。

そこで、兄側は、精算金の支払いは要らないので、何とか兄夫婦が居住している建物が残る形での土地の分割ができないかと言ってきました。

妹としても、兄夫婦を住んでいる家から追い出すようなことはしたくないし、私のアドバイスや、不動産業者への聴取から、分割後の土地は、分割しない場合よりは1㎡当たり単価が安くなるが、それでも、ある程度納得できるような金額では売れそうだということが分かったので、兄側の申出を受けることにしました。

調停で和解できなければ、訴訟せざるを得ず、時間もかかることになったでしょうが、兄側が合理的な判断をしてくれたために、うまくまとまる結果になりました。

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