特別受益と扶養義務との関係(判例その1)(平成31年3月9日掲載)
親が子に金銭的援助をしていた場合に、それが特別受益となるかどうかは、
親の援助が扶養義務の範囲内と言えるかどうかが鍵になります。
たとえば、平成21年1月30日東京家庭裁判所審判では、
被相続人から相手方に対する送金のうち、
遺産総額(2億8000万円余)や被相続人の収入状況からすると
月に10万円を超える部分は生計の資本としての贈与であり特別受益と認められるとしています。
しかし、その余の送金や国民年金保険料、国民健康保険料は、
仮に被相続人が納付したとしても親族間の扶養的金銭援助にとどまるとし、
相続人の一人の長男が3歳頃から高校卒業までの約15年間の養育費用は、
仮に相手方に対する生計の資本としての贈与だったとしても、
黙示的な持戻し免除の意思表示があったと認められるとして、具体的な相続分が算定されています。