相手方の誤った主張により勝訴?
リアルバリュー法律事務所での解決事例です。
当事者の特定を避けるため、いつ頃の事件か等々が分からないように
年月日などは伏せ、また、事案の本質を変えない程度に事実関係を変えたりしてます。
弁護士は法律の専門家ですが、法律以外のことについては詳しいとは限りません。
その代表が不動産です。
弁護士は、不動産そのものの専門家ではないので、弁護士が作成した書面には、不動産について間違ったことが書いてある場合があります。
しかも、驚くことに、不動産に関する法律についてすら間違ったことを書面に書いてくることがあります。この事例は、そういう事例です。
案件の内容は、
不動産の売買に関して、契約・引渡後に売買物件に瑕疵(欠陥)が発見された事案でした。
土地を買ったところ、その土地が実は、建築基準法によって家を建てられない性質の土地であったため、仲介業者に損害賠償請求訴訟をした事案です。
私は、買主の代理人でした。相手方の仲介業者にも代理人弁護士が付いていました。しかも、多数の弁護士を擁する法律事務所で、相手方の書面には、弁護士の名前が何人も書いてありました。
この訴訟の中で相手方が提出してきた準備書面に次のような記述がありました。
「この土地は、農地の転用許可を得て地目が宅地に変更されている。したがって、この土地には建物を建てることができる。」
と、このような記述です。
しかしながら、
この記述には大きな間違いが2つあります。
一つは、この土地は、都市計画法上の市街化区域内の農地であったため、農地を転用する場合には届出だけで足り、転用許可を得ることが不要な土地でした。
もう一つは、土地に建物を建てられるかどうか、すなわち建築確認を得られるかどうかは、農地の転用許可とは関係がなく、建築確認が通るかどうかは、建築基準法の観点からのみ判断されるということです。
つまり、農地転用許可は農地法の規制の問題、建築確認は建築基準法の規制の問題であって、それぞれ全然別の観点から判断されます。なので、当然、担当の部署も全然違います。
もちろん、この相手方の間違った法律上の主張に対して、私は、上の2つの間違いを指摘して、法律はこうなっていると説明する反論の書面を裁判所に提出しました。
そのお蔭か、判決は、相手方が私の依頼者に対して損害賠償金を支払えというものになり、裁判所が認定した損害金の額も依頼者が満足いくものだったので、不動産に強いということを売りにしている当事務所の面目も立つことになりました。