建築確認が下りない! なぜ、1.8mしか接道してないの?(2019年3月3日掲載)
土地に建物を建築するためには、その土地が道路に接面していなければなりません。
これを接道義務と言います。
しかも、ただ接面しているだけではダメで、土地と道路が接面している部分の間口が2m以上なければなりません。
そうでないと建築確認が下りず、建物を建てることができません。
建築基準法で「建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない。」(建築基準法43条1項)とされているからです。
この「道路」というのも、単に道路の形状をしたものでは足りず、建築基準法上、道路と認められているものでなければなりません。
(道路についてのお話は、また後日ということで)
周辺を他の人が所有する土地に囲まれて、道路に全く接面してない土地は当然アウトです。
このような土地を一般用語で袋地と言いますが、不動産鑑定などの専門用語としては、正式には無道路地などと言います。
袋地と言うと、不動産の専門用語的には、下記の旗竿地のことになります。
袋地には外界とつながるクチの部分がありますが、無道路地にはクチの部分がなく、むしろ、旗竿地の方が外界(道路)とつながるクチの部分があって、袋の形状をしていると言えるからです。
よく問題になるのはその旗竿地です。
上に書いたように、不動産鑑定の世界では袋地と言われ、条例などでは路地状敷地などと表現されています。
竿(ポール)の形状にあたる通路部分と、旗の形状にあたる通路の奥の土地とで成り立っている旗竿のような形をしている土地です。
竿(ポール)の部分を路地状部分、旗の部分を有効宅地部分などと言います。
路地状部分は、正に通路の形状をしているのでこのように言います。
有効宅地というのは、この部分に家を建てますので、土地を有効に使う部分という意味で、このように言います。
そして、建築基準法上は、この路地状部分の幅が2m以上ないと建築確認が下りないということになります。
ただし、路地状部分の長さが長いと、都道府県の条例によって、路地状部分の長さが何メートル以上のときは建築基準法の2mではなく、3mなければならない等の取り決めがされており、更に条件が厳しくなります。
ところで、戦後しばらくの間くらいに分筆などがされた旗竿地では、この路地状部分の幅が1.8mしかないものがあります。
路地状部分の幅が1.8mしかなければ、2mに足りないですから、建築確認が下りず、建物が古くなったので建て替えようと思ったら、建築確認が下りなくて建て替えできないということが起こります。
どうして、こんな建築基準法上問題がある形に土地を分筆したのだと思いませんか?
それは、昔の単位で、1間(いっけん)が1.8mだからです。
昔の測量士が、昔の感覚で、建築基準法を意識せずに、1間というキリの良い数字で分筆の図面を作ってしまったからです。
現在、自分が住んでいる家の敷地が旗竿地で、路地状部分の幅が1.8mしかなく、建築基準法の接道義務2mに足りない場合は、隣の土地の人から足りない部分の土地を買い増ししたり、足りない部分の土地を貸借契約したりしないと家の建て替えができないということになります。
しかし、この隣の土地の人から路地の足りない部分だけを買ったり、借りたりという交渉が意外と揉めたりして大変な思いをすることがあります。
このような旗竿地を持っている場合は、隣の人と普段から仲良くしておくことが必要かもしれません。