相手方弁護士が同時決済を知らなかった(令和元年8月14日掲載)
リアルバリュー法律事務所での解決事例です。
当事者の特定を避けるため、いつ頃の案件かが分からないように年月日などは伏せます。
また、事案の本質を変えない程度に事実関係を変えてあります。
土地・建物についての所有権の所在などに争いがあり、最終的に、私の依頼者が相手方名義の土地・建物を購入するという内容の和解をすることになったという案件です。
で、購入予定の相手方の土地・建物にA銀行の抵当権が設定されていました。
私の依頼者は、B銀行から融資を受けて、その融資金で、この土地・建物を購入することになりました。
このような場合、土地・建物の売買は、B銀行の一室に関係者が集まり、
B銀行から買主の預金口座に融資金が振り込まれ、
この融資金で、買主は、売主に代金を支払い、
売主は、支払われた代金から、抵当権を設定しているA銀行に抵当債務の残額を支払い、
A銀行は、抵当債務の残額が支払われたのを確認して、A銀行の抵当権の抹消に必要な書類を売主に交付し、
売主は、権利証などの買主への所有権移転に必要な書類と、A銀行から交付された抵当権抹消に必要な書類を買主に交付する
といった流れで取引が行われます。
これを同時決済と言います。
そのため、
B銀行の一室には、売主、買主、A銀行の担当者、B銀行の担当者
そして、
所有権移転と抵当権抹消に必要な書類が全て揃っているかを確認する司法書士などが一堂に会することになります。
このうちの誰かが欠けても、土地・建物の売買契約を実行できないことになります。
ところが、
相手方の弁護士が今ひとつ不安な人で、
(同時決済ということの意味をよく理解していませんでした)
同時決済の日時を打ち合わせするときに、
「A銀行さんにも来てもらわないといけないので、今すぐには日時を決められませんね。」と、それとなく言ってみたところ、
この弁護士先生は、結構な年配の先生でしたが、
「え、A銀行も来なきゃいけないの?」と曰ってくれました(苦笑)
そこで、同時決済で行うことを説明し、A銀行の担当者にも来てもらわなければならないことを理解していただきました。
私が、今ひとつ不安に思った理由は、
実は、今までも、いくつかの案件で、同時決済の意味をよく知らない弁護士先生がおられ、
今度の相手方弁護士も、交渉過程における反応などから、何となく知らなさそうだなあという雰囲気があったからです。
不動産について実務的なこと、事務的なことはもちろん、
以前に書いたと思いますが、
弁護士は、不動産に関する法律についても間違ったことを言う場合すらあります。
今まで、相手方弁護士が法律上間違ったことを準備書面に書いてきた法律としては、建築基準法、都市計画法、農地法、土地区画整理法、地方税法などがあります。