本人訴訟で失敗する例
弁護士に依頼しないで自分自身で訴訟追行するのを本人訴訟と言います。
この本人訴訟でありがちなのが関係ないことに一生懸命になるということです。
例えば、原告から「貸したお金を返せ」という訴訟を起こされて被告になった場合、
問題になるのは、
① お金を受け取ったのか、② 受け取ったお金を返す約束をしたのか
の2点です。
仮に、お金を受け取ったけれども返す約束をしていない(つまり贈与である)と
主張するのであれば、
贈与であることを示す事実について主張し、
贈与であることを証明できる証拠を探すように努力しなけれないけません。
このときに、
「昔に世話をしてやったのに訴えるとは何事か」ということを一生懸命に主張しても
訴訟とは関係ないことを主張していることになります。
実は、相手方が本人訴訟の場合、
何ページにも渡る準備書面を提出しているのだけれども、
ほとんど訴訟に関係ないことが書いてあるというケースが間々あります。
このような場合、裁判官によっては、ただ単に訴訟を長引かせたり、
混乱させようとしている悪い当事者と思われかねません。
お金の貸し借りのような単純な案件でも、このようなことがあり、
ましてや法律的に複雑な事案や事実関係が複雑な事案ではなおさらです。
ただ、こういうとき、本人としては言いたいことを言い放っているので
結構良い気分になり、訴訟にも勝ったような気になることがあるようです。
しかし、訴訟に関係のないことをいくら言ってもプラスにはならず、
逆に、言うべき主張や、やるべき立証が疎かになったため完全敗訴ということもあり得ます。
なので、本人訴訟の場合、
訴訟では今何が問題なっているのかや、
自分がしようとしている主張や立証は、今訴訟で問題になっていることに強く関連しているのかを常に自問する必要があるでしょう。