事務所の弁護士全員の名前を連ねてくる訴状や準備書面
弁護士が複数いる法律事務所が作成した訴状や準備書面には
事務所の弁護士全員の名前が並んでいたりする。
大きな事務所だと10人、20人の弁護士が名を連ねている。
その事件を実際に担当している弁護士が一人であっても、
事務所の全員の弁護士の名前とハンコが並んでいるというのが現実だ。
ところが、弁護士の名前がいっぱい書いてある通知書を受け取った相手方が
「担当もしていない弁護士の名前を数多く並べてくるのは威嚇行為だ」
として、弁護士会に懲戒請求をした。
考えてみればもっともな話だ。
書面に名前が書いてある弁護士に連絡を取っても
「私は担当していないので」と言われて
実際に担当している一人の弁護士が不在だと話しが進まなかったりする。
ただ単に弁護士の名前を多く書き連ねているだけなら威嚇行為と受け取られても仕方がない面がある。
もっとも、いっぱい弁護士の名前が書いてあるからといって裁判に勝てるわけではない。
前に紹介した宅建業者の重要事項説明不足による損害賠償事件でも
私の相手方の弁護士は判決に8人も並んでいるが、結果はご覧のとおり。
なお、弁護士会の見解としては、
弁護士が名前を出している以上、
私は名前を出しているだけなので責任はないという弁明はできないということなので、
名前を書いてある弁護士が「私は担当でないので分からない」などと言ったら
「弁護士会の見解では、そういう言い逃れはできないってなってるでしょ。
名前を出しているのは単なる威嚇行為ですか?」
と言ってやっても良いかもしれない。